巷間では事故物件、訳アリ物件などと言われるが、業界の専門用語では
心理的瑕疵物件又は告知事項あり物件と言う。
そのイメージは(事件死、事故死、孤独死、自殺)がその土地家屋内で
発生した曰く付きの物件、であろう。
厳密に言えば心理的瑕疵は前記だけではなく、近所に反社の事務所がある、
とか目の前が墓地とか、奇異な宗教施設が近くにあるとか、要は普通に
暮らすにはちょっとどうかなぁ?と感じる要素がある場合も該当する。
もっと判り易く言えば・・知ってたら買わなかった、レベルの嫌悪が
発生してもおかしくない物件、とでも言おうか。
さて、従前から我々業者も冒頭の(死)に関与した物件の売買時には
都度、苦悩していた。
と言うのも売主は勿論、我々も知り得た事で買主にとって不利益になり
そうなことは重要事項説明書、又は物件状況報告書(告知書)に記載を
する義務がある。
私自身、仕入れや転売含めて恐らく10~20件前後は取引しているが、
死因や背景によって(どこまで?)記入すべきかは常に悩んでいた。
いつ?誰が?どこで?どのように?何故?と、疑問は湧かざるを得ない。
ただ、免許を掛けて発行する書類である以上は人の噂やネット情報、
ましてや(らしい)といったレベルの根拠無き曖昧な事も書けない。
ほとんどが遺族からの聞き取り事項を都庁に確認してから、の記入だが、
本当に死因によって表現が変わらざるを得ないというのが実情だ。
この曖昧さに苦悩する業者は多かったがようやくガイドラインが出来た。
その名も「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
今年の10月国交省による表明である。
ものすごくシンプルに内容を下記に記します。
注)当社は売買専門なので賃貸は割愛しています。
【調査について】
①仲介会社は売主に告知書等に過去に生じた事案の記載を求めること
により、通常の調査義務は果たしたとみなす。
②仲介業者は聞き込みや情報収集などを自発的に行う義務は無い。
仮に調べる場合も故人や遺族の名誉、平穏な生活に充分配慮する。
③売主に対しては故意に告知しなかった場合は民事上の責任
(契約不適合、損害賠償請求)が発生する可能性があることを伝える。
④売主から告知が無かった場合でも人の死に関する事案がなかったか?
を自ら必ず問いかける
【告知について】
①原則として買主の購入判断に影響を及ぼす内容は必ず告知すること。
②告げなくても良いケース
・自然死、日常での事故死(誤飲や転倒など)の事案。
発覚からの経過期間は問わない。
・対象不動産の隣接又は集合住宅で日常使用しない共用部で発生した
上記以外の死や特殊清掃がされた事案。
発覚からの経過期間は問わない。
③告げる必要があるケース
・告げなくても良いとした事項でも事件性、周知性、社会に与えた
影響が大きい事案。
・告げなくても良いとした事項でも買主の判断に重要な影響を及ぼすと
考えられる事案。
・買主において把握しておくべき特段の事情がある事案。
・告げる場合は事案の発生時期、場所、特殊清掃がされた場合は
その事実と発覚までの期間を告げる。
④留意事項
・故人や遺族の名誉や日常生活に配慮する為、故人の氏名、年齢、住所、
家族構成、具体的な死亡状況、発見状況は告げる必要は無い。
・トラブル防止の為に売主買主双方の意向を事前に十分に確認した上で
慎重に対応する。
以上である。
現場としては定まったような定まってないような・・微妙だな、
と言うのが正直な感想。大きくは2つのポイントかな、と。
1つ目はやっぱり買主にとっての告知は大前提で行うべき。
2つ目は故人や遺族への配慮からその内容は極めて限定して行う。
という感じで、私からすれば今までやっている事と全く何も
変わらないという確認だった(笑)
いずれにしても、民法改正後は契約不適合責任が明確になったので
私の売主さんには
(言いたくないだろうけど、知ってる限りの悪い事を教えて下さい。
それを明記した上での契約なら後から絶対にトラブルにならないから!)
で、売った後でも何の心配も要らない、安心売却を積み重ねています。